ものがたり

物語〜story〜
 生きる居場所を見失い、遠く離れた海にやってきた亮。そこで、死を待つ老人と出会う。
勝手気ままな老人に振り回され、困惑する亮。そんな中、亮は老人に辛い過去があることを知る。
偶然出会った二人が過ごした“最期の一日”を見ていたのは、目の前に広がる海であった…。

2010年10月22日金曜日

撮影本番前日 ロケ入り




 明日はいよいよ本番。朝8時に新宿を出発した前乗り隊、5名。渋滞を経て、大洋村に到着すると、今回ロケ隊のベースとして自宅を開放してくれたお家のおばあちゃんが優しくお茶と果物で、出迎えてくれました。
 意を決して海へ出ると、強い砂嵐と冷たい海風、それと刻々と変化する太陽の光。本番、もしこの天気なら寒くて水中のシーンは無理。空高く舞い上がる砂は容赦なくカメラに吹き付け、三脚の足は開く度、ジャリジャリ鈍い音がします。シャーペンでさえ砂が入り、芯が出ない。
「わー!ペン貸して〜」とか言っている間に、日が暮れてしまいました。

 夜は、老人役のリーマンさんと青年役の上田君が到着。夕食中に誰かが言う。
「あの波見た?本当に危険だよ、死ぬよ」一同、不安な沈黙。
そう、ここの海はサーファーが集まる高い波で有名な場所。宿泊先のサーファーズパラダイスのゴットママも、毎年、誰かの死と常に隣り合わせで来た。私たちが撮影をするスポット、まさにそこで亡くなっている。そんな場所に、生と死をテーマにして、映画を撮ろうなんて…

 不安の中での読み合わせ。なかなか集中できない。
「ストーリーはこれでいいのか?死とは何だ?本当は何を感じているんだ?この台詞じゃ、甘いのか?ここで本当に笑えるか?」もんもんと読み合わせは、進みます。そこに、暗闇の寒空の中、たき火のシーンのテストしていた撮影部が赤い顔をして帰って来ました。お疲れさま〜!

 そのまま夜中の3時まで、Chihiroと機材の準備をし、カットを考えます。これで大丈夫なのか、明日の撮影〜?カット割りも、十分な時間がとれず練りきれず、ロケーションも固まっていない。外は、ものすごい風と波の音。「海で撮影」なんて完全に甘かった。でも、もう動きだしてます、引き返せません!明日は、どうか晴れますように。

Yuri